初代山田光継が故郷の岐阜に戻り15床の診療所を開業してから100年に迫ろうとしています。まだ往診は人力車が好まれた時代に、車で遠方まで往診をしていました。2代目の山田光雄は戦後岐阜に戻り、肝臓病の専門家として診療に、また後進の育成に尽くしました。3代目の地守研三は昭和から平成に代わる時代に、救急医療を皮切りに、介護事業、障がい、子育て事業に取り組み、現在の和光会の土台を作りました。 2000年代に入ると、病院完結型から地域完結型医療へと言われるように、高齢化による疾病構造の変化とともに必要とされる医療の在り方が変わってきました。肝臓病の先進的な治療や救急医療に注力してきた和光会グループも、時代の流れとともに在宅サービスを中心とする地域医療へとシフトしてきました。 私は2014年に岐阜に戻るまで、主に大学を中心とした急性期病院で勤務していたため、地域医療や医療・介護連携の必要性などは知識としてはありましたが、いまひとつ腹に落ちていませんでした。最近は多少変わってきたかも知れませんが、当時は介護や中小病院を下に見る風潮もありましたし、医師を募集するにも、なかなかアピールするものが見つかりませんでした。また医療・介護の連携は必要ではあるものの、余りに言葉が違い、困難に感じることもありました。 そんな中、まずは急性期病院にも信頼される存在にならなければならないと感じ、医療及び介護の質向上に取り組みました。また24時間365日の在宅医療に関わる中で、我々の医療は質の劣る医療ではなく、中小病院や在宅だからこそ提供できる価値があるということを実感しました。更にそれは、医療・介護がそれぞれの役割を果たし、本当の意味で連携することで、より大きなものとなります。我々和光会が最も貢献できる分野だと思いました。 良質な地域医療、在宅サービスは、患者さんと家族を笑顔にします。高齢化が進む現在、必ずしも治る病気ばかりではありません。寿命延長のみを目的とした治療は殆どなく、本人や家族の価値観に寄り添い、生活を中心に考えた医療・介護(福祉)がこれからの姿です。 和光会グループは、持てる資源を最大限に生かし、岐阜における地域包括ケアシステムのモデルとなるべく、誇りを持って取り組んでいます。 また、障がいや子育て分野でも様々な要望を頂いており、これまで同様できる限り地域ニーズに応える事業を展開して参りたいと思います。 |